肥満をベースにいくつかの病気を併発している「メタボリックシンドローム 」
メタボリックシンドロームというと、“肥満”とイコールで結ばれる病気のように思われている節がありますが、厳密には正しくありません。
メタボリックシンドロームは、肥満をベースとして、高血圧・高血糖・脂質代謝異常などを併発している状態です。
単なる肥満と比べて、より医学的にリスクの高い状態とも言えます。
肥満傾向のある方は、メタボリックシンドローム、生活習慣病に要注意
肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症は、お互いに発症を誘発しやすい関係にあります。一つにかかると、他の疾患を引き起こしやすくなるのです。これら四つは、主に生活習慣を原因として起こるものですから、当然といえば当然です。
肥満だから必ずしもメタボリックシンドロームであるとは限りませんが、だからと言って安心できるものではありません。もしいずれかの生活習慣病が発症してしまった場合には、複数の疾患によって相乗的に症状(動脈硬化など)を進展させ、悪化が早まる可能性が高くなります。
肥満傾向のある方は、メタボリックシンドロームを含む生活習慣病のリスクが高い状態であると捉え、定期的に健診を受けながら生活習慣病を予防しましょう。
メタボリックシンドロームの診断基準
以下の「Ⅰ」の項目のいずれかに該当し、さらに「Ⅱ」の項目に2つ以上該当する場合、メタボリックシンドロームと診断を受けます。
Ⅰ | 男性で85センチ以上 |
---|---|
女性で90センチ以上 | |
Ⅱ | 血圧が130/85mmHg以上 |
空腹時血糖が110mg/dL以上 | |
中性脂肪が150mg/dL以上 かつ/または HDLコレステロールが40 mg/dL未満 |
メタボになりやすいかも!?危険度チェック
- 食事の回数・時間が不規則
- 食べ過ぎてしまうことがある
- 野菜が不足している
- おかし、清涼飲料水をよく口にする
- 体重が増加傾向にある
- 運動習慣がない
- 残業が日常的になっている
- 飲みすぎてしまうことがある
- 喫煙している
- 血縁のある親族に糖尿病、高血圧の人がいる。
メタボになるといろんなリスクが…
糖尿病のリスク
メタボリックシンドロームの人は、そうでない人と比べ、糖尿病(2型)になるリスクが3~6倍にもなると言われています。
心疾患による死亡のリスク
メタボリックシンドロームの人は、そうでない人と比べ、心疾患による死亡リスクが1.5~2倍にもなると言われています。
その他のリスク
非アルコール性脂肪肝、高尿酸血症、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群といった疾患の発症リスクも高まると言われています。
メタボの治療
生活習慣・体重管理指導
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を併発していないのであれば、基本的に生活習慣指導、体重管理指導を行います。
体重を減らすために、栄養バランスの整った食事を摂りながら、運動を生活に取り入れていきます。このとき、いきなり激しい運動をするのではなく、ウォーキングや軽いジョギングなどから始めるようにしましょう。スポーツの経験が豊富という方も、体重が増えていることを考慮に入れ、心臓や膝に負担の少ない運動から開始することが大切です。モチベーションの維持という意味でも、疲れすぎない、爽快感が残る程度の強度に留めておくことが重要です。
日中の適度な疲労によって眠りにつきやすくなり、睡眠の質の向上にも役立ちます。